360°Journal
360°Journal 特集|001

<創立メンバー座談会>
SHIZUOKA360°立ち上げに込めた思い

2020年6月に発足した協議会「SHIZUOKA360°」。
株式会社静岡銀行、株式会社静岡新聞社、株式会社ふじのくに物産の3社による協議会で、その名の通り「静岡を“ぐるり”と見回し、課題を“まるっと”解決」をテーマに、ポストコロナでこの先の予測が難しい中、持続可能な地域ビジネスを生み出すことを目的に設立された協議会である。

今回は、SHIZUOKA360°の設立メンバーへのインタビューを実施。
協議会設立に込めた思いや今後のビジョンについて語ってもらった。

「360°発足のいきさつ」

西村
思い起こせば、知久さんとの思いつきからのスタートでしたね。
アフターコロナの静岡を考える場が欲しいですよね~、でも計画とかあてにならないから走りながら考えていきましょうよ~みたいな。
いわば“弾み”でしたよね(笑)。

ふじのくに物産 代表取締役社長
西村 やす子

知久
そうそう。まさに“弾み”(笑)。年明けにシリコンバレー行って習った、スピード感。
アジャイルスタート?いや、縄文式かもしれないね(笑)


静岡新聞社 取締役
知久 昌樹

鈴木
私たちもこれまでの仕事になんとなく閉塞感は感じていたところに、ありがたくお声掛けいただいて、“弾み”で乗っかっちゃった感じです(笑)。


静岡銀行 経営企画部 事業戦略ALMグループ
鈴木 俊一郎

西村
具体的な事業計画を作る前段階で、静岡銀行、静岡新聞社がジョインされたことは奇跡・・。

鈴木
取り組む事業があってスタートするのではなく、何に取り組むかをこれから決める、というのも、当行にとっては新しいチャレンジでしたね。

知久
あとは、スピード感ですかね。
当社もそうですけど、静岡銀行さんも会社の規模が大きく、何かを始めること、決めることに時間がかかる。
重い母体から抜け出して、「これ面白いからやろう!」というものが、この協議会ならスピーディーに実行できるはず。
社を航空母艦として捉え、360ならいいでしょ!を言い訳に、艦載機としてやりたいことがもっとできると思いました。

藤本
私も知久からこの話を聞いた時、「会社でできないことをここでやっちゃおうぜ、楽しいぞ〜」とアサインしていただいたのが印象的でしたね。


静岡新聞社 地域ビジネス推進局 企画推進部
藤本 裕介

石田
社内では、失敗してはいけない、という空気がありますね。
この協議会では、失敗しながらも、仲間を集めることができる。会社としても成長できるチャンスだと思いました。


静岡銀行 経営企画部 事業戦略ALMグループ 調査役
石田 雅也

 

「静岡で面白いビジネスが生まれない理由」


西村
地域には面白いネタって点在しているんですよ。
でも、それが表に出ない・・
ネタを繋ぐ人、ネタを繋いで次のステップにつなげる仕組みがないからだと思うんです。

知久
アイデアの受け皿がないんですよね。この協議会では、それを受け止めて大きくしたい。
地域商社、地域金融機関と手を組めたら、それを達成できるな、と。
どんどん協議会外の仲間を募って面白いことがしたい。同じ思いを持った仲間を増やしたい。

西村
特に若い世代は、地域のことや自分達の将来について深く考えているし、様々なアイデアも持っています。世代ごとの常識や価値観が大きくズレてしまっている今、自分で何かやりたいと思っても、実現に向けて前に進む環境が整っていないのかなと思います。
こうした志のある人と、地域の資源を掛け合わせてビジネスにするのが360の役割だろうなと。

萩原
関西に住んでいた時、どんな発言をしても「ええやん、ええやん、ほんでほんで?」と言って相手の話を引き出してくれる人が多く、どんなでも発言でも許される環境がありました。いわゆるノリがいいというのでしょうか。僕は直感的に話してしまうことが多く、そこまで発言が多い人間ではありませんが、360°では知久さんが「いいね、すごくいいねぇ」とフォローしてくださり、会社は違いますがそんな上司はすてきだと思いました。
そんな環境があれば些細なアイデアからビジネスが生まれやすいのだと思ってます。
この360°の会議は常にアイデアの源泉となっていると感じています。


ふじのくに物産 営業企画部 マネジャー
萩原 真悟

知久
「いいね、すごくいいねぇ(笑)」

 

「“価値”のシフトに気づけるか」

西村
知久さんみたいな人がたくさんいれば、地域も楽しくなりますね。
みんな、何かやりたいんだけど、閉塞感あるもんね。

鈴木
ひと昔前までの行員は、社内で人よりも業績と評価を上げて、給料を上げることにモチベーションを感じる人が多かった。
ただ、今の若い行員は、とにかくお客様に喜んでもらえることに価値を感じている。

石田
昔は、企業がみんな活力があって、銀行はお金を届ける(融資する)ことで、企業の発展に直結したんですよね。お金を貸すことで感謝された時代というか。

鈴木
このコロナ禍で、若い行員が「入行して初めて、融資したお客さんから、助かったよ、ありがとうと言われました!」と喜んでいたのがとても印象的でした。

知久
当社も少し前に、これまで「営業局」だった部局の名称を変えた。
これまでは会社の中でお金を稼ぐ部署=「営業」という価値観だったけれど、今の営業部隊に求められていることは「ウチのメディアを利用して地域課題を解決し、それをビジネス化すること」。
だから新たな名称は「地域ビジネス推進局」にした。
お金は後からついてくる。そう信じて、地域にしっかり向き合うことを決めた。

西村
私が地域活性事業をやりたくて、コトを起こしたのが5年前です。
静岡には良い素材はあるのに、  
ヒトもお金もうまく回っていない感じがするんですよね。
行政、民間、もっともっと有機的に繋がれるはずなのに。
使うべきところに人と金を使えていないんだと思います。

よく例え話として使うんですが、海が淀んでくると、魚は減る。すると、みんなでこれを獲りあう。
でも、これじゃダメで、みんなで海をきれいにして、魚を増やすことをしないと。
産業のベースを整えて、みんなで成長ができるような社会にしたい。これがふじのくに物産設立時の思いなんです。

メディアと銀行って、これから一番変わる業種。そんな2大地方プラットフォーマとベンチャーの掛け算で、化学反応を起こせたら面白いんじゃないか、って思ったんです。

 

「時代のニーズを言語化して、共感を促す発信役に」

西村
人のニーズが変わっている。これを言語化して伝えることが必要ですね。
時代の変化を促す役目、その発信役を担いたいですね。
今まで常識と思っていたことと、今の世の中の共通認識とをすり合わせる役。
それがこの「360°journal」の役割だと思っています。

女性活躍なども、おじさん達のイメージする感覚との現実とはギャップがある。
女性の管理職○%を目指す、とか。働く意味や幸せの価値観はヒトによって全然違うと思う。
自分らしく生きられる環境があることの方が大事なのに。

知久
その通り。みんなが出世したい時代じゃない。
それより働きがい。

鈴木
いわゆる「地方創生」、「地域活性化」も、ジェンダー問題と同じ気がします。
名ばかりの「地方創生」、「地域活性化」に振り回されて、本当にどんな価値が求められているのか、がわからないままに進んでいるのでは?
これでは本当の価値を生み出さない。

西村
価値観が多様化している時代。
何が幸せか、何に価値を感じるのか、のニーズを感じていなければならない。

 

「静岡をざわつかせたい」

藤本
いろいろ話してきたけど、この話に共感して、360°と一緒に何かやりたい、と思ってくれる仲間に集まってきてほしいですよね。

知久
そうだね。どんどん声かけてほしい。
公共性があるか、三方よし、となるか。その可能性を感じれば、どんどん新しい取り組みを進めたい。

星野
メディアも銀行も地域のリーダー格。
多くの地場の中小企業は、社会のために、という視点までなかなか持てない。
人のために、と考えるよりもまずは自分の会社をなんとか、が現実。
そういった方々に、どうしたら社会のためになるか、どうしたらそれが企業に貢献するのか、といった価値観を伝え、そこから得られる豊かな発展を一緒に遂げるパートナーになりたい。


ふじのくに物産 取締役
星野 勇介

萩原
とにかくワクワクすることをしたいですね笑
私は実は静岡銀行から出向中の身なんですが、ふじのくに物産での毎日は驚きの毎日。

西村
急に先進国から発展途上国に来たようなものだもんね。笑

萩原
事業を計画しても、3時間後にはそれが全く変わっていることも多々。
毎日新たな発見があって、その都度ビジネスの種が見えてくる。
同じように360°でもエッジの利いた取り組みをたくさん考えたい。
そしてネットワークとビジネス構築力があるので実現ができると思います。

星野
とにかく地域をざわつかせたいですよね。
え、そんなことやってるんですか??って人もたくさんいる。
そういった人々とどんどん知り合って、どんどん新たなチャレンジをしたい。

 

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